私達NPO法人kichiは、平成26年4月から3年間に渡り、東京都とアーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)が展開している東京アートポイント計画(※1)に参加し『三原色〔ミハライロ〕』と称して活動をしてきました。その軌跡を記しておきたいと思います。

東京アートポイント計画に参加するきっかけ

私達は以前より、任意団体kichiとしてコミュニティスペースの運営、イベント企画、フリーペーパー発行等の活動をしてきました。その活動を一緒に行う中で、私達をよく知る官庁の方が東京アートポイント計画への参加を進めてくださったのがきっかけでした。

アーツカウンシル東京の森さんとお会いしてお話を伺い、未知の世界に不安ながらも今後の展開に高揚感を覚え、やるべき事と判断しました。

いろいろな色が混じり合う〔三原色・さんげんしょく〕=〔三原色・ミハライロ〕

三原色〔ミハライロ〕の名称は、〔三原色・さんげんしょく〕のように色が混ざり合い様々な色に変化する様子を、人や物事が混ざり合うことで様々な動きが起こる様子に例えています。また、大島の象徴ともいえる三原山(みはらやま)の名称も含んでいる事から決定しました。

〈三原色〔ミハライロ〕の定義〉

伊豆大島を支えてきた世代、伊豆大島で生まれ育ちこれからを担う世代、興味を持ち伊豆大島へ訪れる多様な世代…その点と点が多様であればあるほど予想しない化学反応が起こる。多種多様な点と点を『デザイン』や『アート』を使ってつないでいくことで、新たな価値を生み出し、活気溢れる地域づくりを目指す活動をします。

〈3年間の主な活動〉 ※2

●てんつなぎ

様々な分野で活躍しているゲストを招き、知恵とノウハウを学びながらネットワークを広げ、自分達独自の組織づくりのあり方を見つけるためのプログラム。


第1回「てんつなぎ」


第2回「てんつなぎ」


● 公開イベント

「映像のススメ」、「大島イイもの展」他


「映像のススメ」


「大島イイもの展」


● キッズプログラム

幼少の頃から文化に触れる機会を多く持てるように島外から様々なアーティストを招き、親子で味わい感じるプログラム。


「スティールパンにふれようスティールパンで遊ぼう」


「モールアートで遊ぼう!」


●〔paper〕『ミハライロ』発行(初年度のみ)、フリーペーパー『12class』発行、公式サイトの運営

3年の活動の変化

1年目は、まず「何をやるか、やりたいか」からのスタートでした。島の事情として、島内に地区がいくつかあり、それぞれの地区で季節ごとの祭りや消防、冠婚葬祭の手伝い、子供の行事等、とにかくメンバーは行事参加に忙しく、その合間をぬっての三原色の作業でしたので進むものも進まず。メンバーの考え・思いのすれ違いがあり、SNS等を使い情報共有の工夫をしたり、反対になるべく会って話そうと機会を設けたりしました。問題が見えてきて、改善案、役割分担が進み、三原色でやるべき事がだんだん見えてきたところで、気づくと年度末になっていました。
出会いや学びももちろん多かったのですが、マンパワー不足が慢性的な問題として浮き彫りになり、三原色〔ミハライロ〕に携わる個々の立場・思い等、全て異なるものを一様にまとめようとするのは無理だと気づいた1年目でした。

2年目、チームビルディングを目標にしながらも、マンパワー不足で身動きできなかった1年目の反省を受け、2年目は事務局メインで進行することにしました。活動としては、キッズプログラム、公開イベント、フリーペーパー『12class』の発行。プログラム毎にスタッフとして参加してくれる人に恵まれ活動できた一年でした。「大島いいモノ展」では、夏ゼミ(※3)との嬉しい再会も果たせました。
この年の終わりに、軌道修正の大きな動きがあったのですが結局かなわずに終わりました。時期尚早であったと今は振り返る事ができますが、機会があればまた挑戦したい内容でした。

原点回帰の最終年

そうして3年目。2年間の活動の結果、3年目はkichiというコミュニティスペースを始めた当初の動き、キッズプログラムと『12class』の発行という2本の活動に自然と絞られました。キッズプログラムは2回、フリーペーパーも2回の発行でしたが、いいペースでした。メンバーも入れ替わり(12class編集部は増員)、3年目にしてやっと継続できるメンバーが固まった感じがします。各プログラムとも毎回充実した内容で、今のメンバーだからこそ実現できた活動ばかりでした。

活動中いつも考えていたのは、大島にいる自分達がやるべきことは何か、という問いでした。私達三原色〔ミハライロ〕は、他の純粋なアートプロジェクト(例えば音楽祭を企画、空き店舗の利用を企画等)とは違い、島が抱える問題と常に隣り合わせで、向かうはその解決と答え探しでした。
三原色〔ミハライロ〕の企画で島の問題は解決できたかと言われると、残念ながら良い回答ばかり得られないと思います。日々に追われながら進めた活動は、試行錯誤しながらも「もっとできた」という感じが毎回残り、活動をやった結果みえてくるの繰り返しで明確な答は提示できなかったのです。しかし、私達がやりたい事が、今の大島に明るく新しい価値を提示する活動なのだという事は伝えられたと思います。それは、東京アートポイント計画に参加する以前の私達の思いの続きなのでした。

東京アートポイント計画に参加するという事

私達が関わってきた中で、アート・デザインに無関係で興味の無い方もたくさんいましたが、ある目的の元に関係をつくり続けることで、その先にある日々の中の見方をどう変えるか、そのキーワードやきっかけがお互いに生まれたりしました。多方面の方と関係をつくり続けること、関係をつくる場をつくること、それが東京アートポイント計画に参加するNPOの役目なのだと今では理解しています。
東京アートポイント計画には、常にアートプロジェクト関係のプロフェッショナルのネットワークがあって、近くで話を聞ける機会を何度かいただけた事も幸いでした。

キラキラ輝く子供の目をつくること、新しい自分の可能性に気づくこと、昨日までの景色がまったく変えられること。出会いが出会いを生む経験をさせてもらい、大人として心の引き出しを増やしてもらった事が、私個人としての財産です。

3年間の末、たどり着いた今のNPO法人kichi。いろいろな意味で訓練と修行の3年間でしたが、当初の想いはそのままに筋肉がついて戻って来れた感じです(笑 やりたい事はできたし、自分達に必要な3年だったと言えます。真面目すぎたかなと思う所もあるので、これから少しづつ角を取っていきたいと思います。
アーツカウンシル東京の皆様はじめ、三原色〔ミハライロ〕に関わってくださった皆様、3年間ありがとうございました。

NPO法人kichi 代表 千葉れみ

※1
東京アートポイント計画は、地域・市民が参画するアートプロジェクトを通じて東京の多様な魅了を創造・発信することを目指して東京都とアーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)が展開している事業です。
https://www.artscouncil-tokyo.jp

※2
各プログラムの詳細、イベントレポート
http://miharairo.to-on.info

※3
夏ゼミとは
http://to-on.info/12class/report/natsuzemi/

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